ライトノベル ムシウタ04 レビュー

タイトル ムシウタ04. 夢燃える楽園
著者 岩井恭平
イラスト るろお
出版 角川スニーカー
発売日 2004年10月


執筆者:jade 評価:
今回の主人公は特環の最低ランクの局員・菰之村茶深。
彼女はある野望を秘めていたものの、その野望は誰にも見向きをされることなく潰えるはずだった。
ところが彼女の前に虫憑きたちの戦いの中心にいる杏本詩歌が現れたことにより、虫憑きの根本に関わる秘密に誰よりも近づくことになる─

というのが今回のあらすじ。
予想を裏切り、前巻に引き続いてこの物語の本来の主人公である薬屋大助の出番はごくわずかで凡人とは違う輝きを持つ人間だけではなく、その他大勢の一人にも主役になれるチャンスを提示したのが今回の物語の特徴となっています。

序盤は人を駒のように扱う茶深の言動と独特の口調がどうしても好きになれず、感情移入することなく醒めた眼で見ていたのですが、終盤の戦闘に入ると今まで抑えてきた茶深の感情が爆発して、自他共に認める小悪党から一転して物語の主役に相応しい言動を見せてくれます。
やはりこの熱い展開こそがこのシリーズの真骨頂であり、読む人の心を惹きつける一番の要因でしょうね。それだけに伏線を張ることに終始した序盤の淡々とした展開の分だけ今回は若干評価を割引きました。

さて、この巻では“始まりの三匹”の存在について新たな謎が提示されると共に、薬屋大助が“始まりの三匹”に深く関わっていることが判明し、彼が特別な虫憑きと言われている所以が明らかになります。
それらすべての鍵を握るのが今回登場する千晴という人物なのですが、彼女の正体は最後の最後までまったく予想できませんでしたね。今後彼女がこれからどのように行動しどの勢力に付くかによって、中央本部・東中央支部・むしばねのパワーバランスが大きく崩れることになると思います。

それにしてもシリーズが進むたびに新たな謎が提示され、魅力的なキャラが次々と登場してくる辺り、よくネタが尽きないなと毎回感心させられますね。これで本来の主人公である薬屋大助の視点に戻しても新鮮な気持ちで見られることでしょう。
こういった作品だとマンネリに陥る心配が無いため安心して見られますね。あとはこの広げすぎた風呂敷をどのようにたたみ、読者が納得のいくラストを描けるかでしょう。
そうは言っても完結はまだまだ先のこと。岩井恭平氏の手腕に期待して、これからの新展開を心待ちにしたいと思います。


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